• 黄連の花(東京都薬用植物園)撮影:有田龍太郎
  • 黄連の花(東京都薬用植物園)撮影:有田龍太郎
生薬を用いた臨床、生薬を使用した各種の製剤において、生薬の品質の確保は極めて重要なものであり、医療の現場においても決して無視できないものである。近年の分析技術の進歩により、生薬の評価にも種々の科学分析手法が応用されているが、現在の科学分析だけでは生薬の良否鑑別において十分とは言い難く、経験や五感に基づく古典生薬学的鑑別も依然として重要な手法である。

しかしながら、生薬学は、既に過去の学問のようにみなされ、古典生薬学はあまり顧みられなくなっている。大学レベルで古典生薬学が教えられなくなった今、それに代わって役割を果たす学術団体の存在が必要とされている。

日本漢方生薬ソムリエ協会」の主たる目的は、生薬に携わる人の知識のレベルを確保し、それに当たることの出来るリーダーを養成することである。

日本漢方生薬ソムリエ協会」の任務は、和漢薬のあらゆる方面に関する知識を豊富に有している人に「漢方生薬ソムリエ」の資格を与え、共に知識の向上を目指すことである。

各大学、漢方を専門とする医療機関、生薬、漢方製剤の製造販売会社などに、この資格を有する人がいれば、業界全体のレベルの向上と活性化がはかれるであろう。薬学生、大学院生が在学中にこの資格を取れば、就職に有利であろう。延いては、生薬/和漢薬業界全体の学識レベルの向上につながることを期待する。

理事長挨拶

理事長 御影 雅幸

理事長 御影 雅幸

漢方薬が保険診療の対象となり、国民医療の一端を担うようになって半世紀が過ぎました。その間、多くのエビデンスが示され、今日では多くの医師が漢方薬を処方するようになり、また薬局でもエキス剤が置かれるなど、国民医療として定着しています。

一方で、医療現場では生薬の品質が従来よりも悪くなり、治療に影響が出ていることが指摘されるようになり、その要因として生薬品質を正しく評価できる人材が育っていないことに危機感を抱く医師・薬剤師が多くなりました。こうした状況を改善する目的で、関連企業有識者をも交えて生薬に関わる有志が集い、日本漢方生薬ソムリエ協会が発足しました。

生薬は天産物に由来するので本質的にその品質は多様です。古来、生薬には異物同名品がつきものでした。異物同名品には科学的に全く異質なものから、薬用部位、産地、採集時期、新旧、天然物と栽培品、加工方法の違いなどに起因する様々なものがあります。「医者の匙加減」は本来、異物同名品や品質の良否を見抜いた上での配合量の調節でもありました。

臨床現場や生薬製剤現場において、生薬の品質の確保は極めて重要なことです。患者さんに適した漢方処方が正しく診断されても、調剤される生薬品質が劣っていれば治療効果は期待できません。生薬を取り扱う全ての関係者に、生薬品質を正しく評価する能力が要求されているのです。

本制度の最終的な目的は「生薬に携わる人の知識のレベルを確保し、それに当たることが出来るリーダーを養成すること」です。本会では、今や大学レベルで教えられなくなった古典的生薬学の真髄を再評価し、新しい時代のニーズに基づき教育・普及させるため、座学や見学会を始めとする各種の事業を行っています。会員となって研鑽を積むにはある程度の基礎知識が必要です。それを問うのが認定試験です。より良い漢方医療を目指して本会にご参加いただけることを願っています。

沿革

発足

日本漢方生薬ソムリエ協会は、2013年4月29日に設立準備委員会が発足し、協議を重ね、同年8月31日(土)、金沢において開催された第30回和漢医薬学会学術総会において、御影雅幸理事長のもとに設立記念シンポジウムとして「漢方生薬ソムリエ:生薬学スペシャリストの養成に向けて」が開催され、正式に発足し、厳正な審査の結果、4名のソムリエが誕生した。

設立記念シンポジウム・会場風景
設立記念シンポジウム・会場風景

新ソムリエの皆さん
新ソムリエの皆さん

その後、理事会と賛助会員、4人の新ソムリエが中心となって協会の運営が開始され、2014年8月29日に第1回初級「漢方生薬ソムリエ」認定試験が行われた。この時、18名が合格し、以後毎年試験が行われ(2020年はコロナ禍にて中止)、2021年10月10日に第7回認定試験が施行され、4人が合格した。今後も毎年1回の認定試験を行って行く予定である。

漢方生薬ソムリエ認定試験

漢方生薬ソムリエ認定試験は毎年1回、原則として和漢医薬学会の前後に行われ、合格者には「漢方生薬ソムリエ」の資格が与えられる。「試験案内」および「過去の試験問題」参照。

漢方生薬ソムリエ試験の表紙

漢方生薬ソムリエ試験の表紙

試験問題の例

試験問題の例

国内・国外の活動

日本漢方生薬ソムリエ協会の活動は多岐にわたる。とりわけ力を入れているのが、国内・国外の観察会や講習会である。
国内では、さまざまな生薬を栽培している圃場や植物園の見学を行い、講習会を行っている。これまでに講習会に関しては、講習会情報および過去の講習会を参照。

石川県のマオウ栽培地観察会の一風景(平成29年7月29日)
石川県のマオウ栽培地観察会の一風景
(平成29年7月29日)

漢方生薬ソムリエシンポジウム

日本漢方ソムリエ協会では、ソムリエ会員の知識向上と親睦を兼ねて、不定期ながらソムリエシンポジウムを開催している。

第1回目シンポジウム:2016年7月10日に東京都薬用植物園にて開催

多数の発表に加え、東京都薬用植物園の山上園長の案内で、園内にある貴重な植物を知ることが出来た。

東京都薬用植物園・園長の山上勉氏の案内で植物園見学
東京都薬用植物園・園長の山上勉氏の案内で植物園見学

第2回目シンポジウム:2018年7月8日(日)に東京ビジョンセンターにて開催

このシンポジウムは、東京駅の近くの貸会議室で行われたため、野外での薬用植物観察は出来なかったが、この日のテーマである黄連について、栃本天海堂の宮嶋氏がお持ちいただいた各種黄連は、この会でしか見ることが出来ないもので、大変勉強になった。

数多くの黄連の標本に見入る参加者
数多くの黄連の標本に見入る参加者

公開シンポジウム

漢方生薬ソムリエ協会では、公開シンポジウムを開催している。これは、漢方生薬ソムリエのみでなく、広く一般の研究者や学生も参加できるオープンなシンポジウムで、現在のところ、生薬を中心としたプログラムを考えている。第1回目のテーマは「黄連」であった。

第1回目:黄連シンポジウム

2019年11月10日(日)に金沢で開催された。多彩な講師陣で、各方面からの黄連の研究や報告が行われた。詳細は「黄連シンポジウム報告書」を参照。

黄連シンポジウム・ポスター

黄連シンポジウム・ポスター

黄連シンポジウム・会場の1風景

黄連シンポジウム・会場の1風景

第2回:麻黄シンポジウム(2022年・期日未定)

第3回:当帰シンポジウム(2022年・期日未定)

Zoom談話会

コロナ禍で簡単に会合が行えなくなったために、2021年より2ヶ月に1回、「Zoom談話会」を開催している。会員及び賛助会員団体の所属者であれば誰でも参加できる。現在試作段階であるが、記録されたものは協会内のアーカイブに保存され、会員の研究用に供される。

以上が、2021年12月現在の漢方生薬ソムリエ協会の現況である。今後、これらの企画は回を積み重ねるごとに量も多くなり、質も向上するであろう。本協会は、日本の生薬学の学問的向上を目指し、国際交流を深め、生薬産業を守るという事業を継続しているが、新たな会員を迎えれば、さらなるプロジェクトも開始できると思われる。

漢方生薬ソムリエ

漢方生薬ソムリエ(初級)

平成26年合格者
(18名)
宇高 一郎、飛奈 良治、有田 龍太郎、岩田 和代、吉野 鉄大、
渡辺 賢治、横川 貴美、西谷 真理、伊藤 亜希、福田 枝里子、
神谷 洋、堀場 裕子、安部 正太郎、待井 亮一
他4名
平成27年合格者
(5名)
大井 逸輝、上野 睦美、山口 英、吉江 和幸、豊岡 寛美
平成28年合格者
(8名)
吉川 舜、原 明奈、吉永 瑛里、松木 道子、松本 昌士、北村 雅史、
栃本 久美子、田辺 三奈
平成29年合格者
(4名)
白鳥 弘明、伊藤 幸祐、織田 枝里子、辻野 舞
平成29年更新者 会員番号:140031-140032, 140034-140048
平成30年合格者
(2名)
伊藤 ほのか、新屋 和花
平成30年更新者 会員番号:150031ー150035
令和元年合格者 田中 耕一郎
令和元年更新者 会員番号:160031, 160033ー160038

漢方生薬ソムリエ(中級)

平成28年度合格者
(4名)
宮嶋 雅也(株式会社栃本天海堂)
吉田 雅昭(小太郎漢方製薬株式会社)
土田 貴志(クラシエ製薬株式会社)
浅間 宏志(株式会社ウチダ和漢薬)
平成29年度合格者
(1名)
有田 龍太郎(東北大学)

注:連絡先等が変更になった方は事務局まで必ず連絡してください。